姫☆組 (姫シリーズVol.1) 【完】

心の穴

【 姫花 】 

夏休みに入って、3日目・・ 今日も私は家にいる

終業式の後のカラオケで、結局アミとは何も話してない。
やっちゃんとパフェとカキ氷を食べて、歌を歌うわけでもなく、たわいもない話をして先に帰ってきた。

そういえば、潤也や壱は大丈夫だったかな?

今日から、アニキは2週間仕事でいない。

賢次とふたりで、ロシアのシベリア鉄道に乗って旅をする番組の撮影らしい・・

なんで、このふたりなのかわかんないけど、アニキは「ロシアの色白美人が待ってるぜ~」なんてアホな想像を膨らませている。

パッキングを終え、出かける準備をしているところに

「がっくーん! おはよう!!」とやけにテンションの高い賢次がやってきた

賢次って低血圧で朝苦手じゃなかったっけ?

「おはよ~ アニキなら今準備してるからちょっと待っててあげて」と賢次にコーヒーの入ったカップを差し出した

「さんきゅ~」

本当にテンション高い・・

「朝から元気だね・・」

何気に気になるので聞いてみた

「バレた? 夕べっていうか3日寝てねぇのよ。 記録更新中!!」

なるほど・・・

「仕事忙しいんだ?」

「一昨日は仕事だったけど、夕べは故意に起きてた」

「なんで?」

「今日遅刻できねぇから・・ がっくん待たせるなんて、俺の命がなくなる・・」

あぁ・・そういうことか・・ 私と幼なじみの賢次は必然的にアニキとも幼なじみなわけで、アニキにとって、賢次は弟みたいなもんなんだけど、その気持ちが賢次には伝わらず、自分は舎弟的な存在だと思い込んでいる

「ロシア楽しみだね~ 綺麗な女の子つれて帰ってくるってアニキ張り切ってるよ」

「がっくんらしいわ・・ 俺は女はいいや・・それより、姫にうまいウォッカ買ってきてやるな! 楽しみにしとけ!!」

「え? ウォッカ? なんで?」

「ロシアっつったら、ウォッカだろ?」

ん~ 確かにウォッカはロシアのお酒だけど、それがお土産なの? 他のがいい・・



< 103 / 222 >

この作品をシェア

pagetop