姫☆組 (姫シリーズVol.1) 【完】
旅行に来たからといって、特別な事はしない。

それは、ここが自然しかない田舎だからというわけではなく、海外のリゾートでも同じこと

それでも、海でもあれば、たまに波乗りやダイビングをするのだけど・・・

それぞれ、持ってきた小説を読んだり、近くの沢まで散歩して、足だけ冷たい水に浸してみたり・・

そんな風にお昼までの時間をゆったりと過ごす

お昼は、ばあちゃん特製の蕎麦をすすり、またのんびりと時間を過ごした

夕方になって、近くの神社で夏祭りがあるというので、ばあちゃんに浴衣を着せてもらった

抜群にスタイルのいい集団が田んぼのあぜ道を浴衣で歩いている

神社に着くと、思ったより出店があり、結構賑わっていた

「なんか、雰囲気あるねぇ・・・」とおくれ髪を直すりん

ちょっと色っぽいその仕草にまわりの男は唾を飲む

「ほんとね~ あ~大ちゃん! 林檎飴食べたい」と咲は大吾を引っ張っていく

「待てって・・・」と大吾は、はにかみながら咲と行ってしまった

「かぁ~ ラブラブだなぁ~」とその後ろ姿を見る龍馬

「いいんじゃないの? あっちじゃこうやって堂々と歩くことなんかできないんだから・・」と姫花

「そりゃそうだ」と潤也

「咲ちゃんだって、制服デートとかしたいだろうに・・・」とポソっとつぶやくように賢次が言った

「そうかもしれないけど、咲ちゃん毎日すっごく幸せそうだよ?」と姫花

「何が幸せかって人それぞれだから、咲ちゃんのあの笑顔みたら何も言えなくない?」とりん

「賢次は考えすぎなんだって! 俺たちも祭り行こうぜ」と龍馬が賢次の肩を抱き歩き出した

その二人を「待って~」とりんが小走りに追いかけていく

必然的に、姫花と潤也は数メートル後ろを並んで歩く事になった

< 119 / 222 >

この作品をシェア

pagetop