姫☆組 (姫シリーズVol.1) 【完】
聞きたいことはいっぱいあったのに、りんもアニキも芸能科で学校が終わらないと会う機会はない・・

その上、ふたりがいま校内にいるのかさえ、わからない・・

「姫ちゃん~ お~い?」

「え?」

咲に耳元で話しかけられ、自分の世界から帰還した姫花

「もうとっくに授業終わったよ? 日向さん待っているんじゃないの?」

咲の言葉に教室を見渡すと、生徒がチラホラいるだけ・・

「あっ・・ う・・うん」

と曖昧な返事をし、荷物をカバンにつめ、咲に見送られながら昇降口に向かった

昇降口をでて、日向の待つパーキングへ行くと、日向の駐車スペースに人だかり・・

あ~こっちもか・・

と思いながら、その人だかりに近づいていく・・

トントン・・

一番手前にいた女の子の肩を叩く

「あっ・・大倉さん!!!」 驚いた表情の女の子の声に周囲が一斉に反応する

周りの指すような視線が痛い・・

「はぁ・・姫、やっと来たか・・ もう遅いよ」と日向は安堵の表情を向けた

日向が神路日向だと知ってから、校内には日向のファン倶楽部まで出来ていたのだ・・

「じゃあ、そろそろ解散してくれないかな それとこれは持って帰ってね」

と目の前のダンボール一杯の贈り物を指差す日向

日向は、バレンタインに限らず、姫花意外からの贈り物は一切受け取るつもりはなかった

だが、勝手に机や下駄箱、ロッカーに置いていったものや、宅配で事務所に届いたものは諦めて持っていた

日向の彼女一筋なところも、ファン倶楽部からすれば、たまらないのだろう・・

彼女等は、日向に言われたとおり、少し後ろにさがり、ダンボールを抱え、うっとりしながら、日向の車を見送った


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