姫☆組 (姫シリーズVol.1) 【完】
「初対面なんだけど、悪くはしないって約束するから、まかせてもらえない?」

キャサリンの真剣なまなざしにうなずく咲

「よかった・・ そういえば、自己紹介まだだったわね? 私はキャサリン! こう見えても乙女なのよ~」

「乙女・・ですか?」

「そうよ。ここはとってもピュアなのよ~」と自分の胸をポンポンと指差すキャサリン

「・・・・・」

「かわいいわね。 で?」

「え?」

「だから、お名前教えてくれないの?」

「あっ、藤田咲です! 姫ちゃんとはクラスが一緒で仲良くさせてもらってまっす!」

「まっすって・・ ガクちゃんから聞いたとおり、面白いこねぇ。 姫と同じクラスってことは、普通科なの?」

「はい!」

「姫はどう? なじんでる?」

「あっ・いや・・・」

「なわけないわよね・・ でも、よかったわ。 咲ちゃんみたいなお友達ができて♪」

咲とキャサリンは色んな話をした。

普段は人見知りをする咲もキャサリンとは、前からの知り合いのように話ができたのだから不思議だ。

「さぁ・・完成よ♪」

おしゃべりに夢中になっている間に、キャサリンの魔法の手は咲にとびっきりの魔法をかけていた

「これ・・私?」

「そうよ~ 咲ちゃんっていう宝石の原石をちょっと磨いただけ! これからもっと輝けるわよ!」

まっ黒で、重たいイメージだった髪が少しだけ明るく色づき、カットされ、ゆるくパーマがかかっていた

「メイクも簡単なコツを教えるからね!」とキャサリンは大きなメイクボックスを広げだした。

メイクが始まってからは、キャサリンの一語一句を聞き逃さないように、その手の動きを見落とさないように、咲は必死だった

まさに、咲はシンデレラだった。

大変身を遂げた咲を目の前にして、大興奮の姫花はその姿を写メに撮っていたし、キャサリンは一仕事やり遂げた満足感でタバコをふかしていた。



< 51 / 222 >

この作品をシェア

pagetop