この香りで惑わせて




「今日は、優しくしてやれないかもしれない」


 あたしの心と体は震えた。


 別に怖い訳じゃない。


 女としての期待が、そうさせた。


「好きにして」


 それだけしか浮かばなかった。


 すると、あたしの腰を掴み膝をつかせると、一度だけ何かを確かめるように彼自身を押しつけ、一気に貫いた。


 あまりの気持ちよさに、あたしはベットシーツを握りしめ、快感に堪える。


 彼は激しく抜き差しを繰り返し、何度も何度も絶頂へと導く。


 こんな激しく抱き合ったことはない。


 まるで理性のない獣みたいな混じりあいに、あたしは甲高い声を上げた。


 それでも、彼の激しさは変わらず、ついには自分で腰を振りはじめてしまった。


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