この香りで惑わせて
朝
いつの間にか気を失っていたのか、目をさますと彼に髪を撫でられてた。
こんな風に、彼と朝を迎えるのはいつぶりだろう。
「ごめん。無理させた」
あたしが起きたことに気づいた彼は、まずはそういった。
「すごくいい匂いだと思ったら、もう亜美を抱くことしか考えられなかった」
なんだか恥ずかしそうに言われて、あたしまで恥ずかしくなってきた。
そもそも、仕組んだのはあたしだ。
まさか、効くとは思わなかったけど。
「いつもは、我慢できてたのに……昨日は無理だった」
「どうして、いつもは我慢するの?」
彼の言葉に驚いたあたしは、思わずそう聞いていた。