この香りで惑わせて



 いつの間にか気を失っていたのか、目をさますと彼に髪を撫でられてた。


 こんな風に、彼と朝を迎えるのはいつぶりだろう。


「ごめん。無理させた」


 あたしが起きたことに気づいた彼は、まずはそういった。


「すごくいい匂いだと思ったら、もう亜美を抱くことしか考えられなかった」


 なんだか恥ずかしそうに言われて、あたしまで恥ずかしくなってきた。


 そもそも、仕組んだのはあたしだ。


 まさか、効くとは思わなかったけど。


「いつもは、我慢できてたのに……昨日は無理だった」


「どうして、いつもは我慢するの?」


 彼の言葉に驚いたあたしは、思わずそう聞いていた。


< 15 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop