この香りで惑わせて
「まさか、こんな罠を仕掛けてくるなんて思わなかったよ」
また覆い被さってきて、あたしの足の間に体をねじ込んできた。
「でも、悪くない。君に求められてるって分かったから」
首筋に顔を埋め、ゆっくりと息を吸うと顔を上げた。
その瞳には、もう一度を想像させる熱がこもってる。
「でもさ……」
「はい?」
「俺といる時だけにしてよ。こんな風に色っぽい匂いをさせるのは……心配になる」
心配する必要なんてないと、言いたかった。
香水があろうが、なかろうが、彼が相手だから色っぽくなれるんだと思う。
あたしは、小さく「はい」と答えた。
そして、満足そうに笑った彼のキスを受け入れた。
―END―