youthful days
教室に入ったところでちょうど本鈴が鳴り
少し間を置いて担任が入って来た

「ほら、みんな座れー」

典型的な中年って感じの担任は
自分の父親とはかけ離れてるけど
いかにもお父さん、って感じの人で
結構好きだったりする


話しやすいのは、私にとって一番安心する


去年は若くてハキハキした体育系の女の先生だったけど
話していて疲れるというか
いい先生なんだけど、どう接していいのか解らず
進路相談とか、世間話をするにも気を遣っていた

元気いっぱいに応えてくれるよりも
落ち着いた態度のほうがいいのかも


ぼんやりと去年のことを考えるとプリントが回ってきた
『修学旅行について』と書かれたプリントを見て
少しわくわくした

「皆プリント回ったかー?説明始めるぞー」
はぁい、とやる気のない返事がまばらに聞こえて収まったとこで
先生はグッと力を込めて喋り始めた

「修学旅行だが、行くとこが決まった
 京都、大阪、神戸、倉敷、広島だ
 今から班決めをするぞー
 女子は人数が少ないからそのまま
 男子は5人か6人で班決めしてくれ
 決まるまでは女子は好きにしてていいぞ
 じゃあ始めてくれ、決まったら先生のとこまで来てくれー」

言い終わると男子はがやがやと班決めを始めた
女子は関係ないことだし自然と集まってお喋りを始めた

「結構ギリギリだよね」

近くの男子の席に勝手に座りながら皆で話しをする

「でも、すぐに行けるからいいんじゃない?」
「んー、まぁねー」

他愛のない話をしながら修学旅行はあそこに行きたいね、とか
あれを食べたいと話していたら先生がやって来た

「ここは賑やかだなー」
「先生も混じりに来たのー?」
「あいつら、まだ決まりそうにないからな」

苦笑いをしながら、同じように近くの椅子を引き寄せてどっかりと座る

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