大好きな君の。
ドーナツ屋さんに入り、私はクリームの入ったのを、憐ちゃんはチョコのを購入した。
「それでね、憐ちゃん」
お店に入って30分くらい他愛のない話をした。
「え……」
向かいの席に座る憐ちゃんの視線が私の後に向く。
思わず振り返れば、その先にいたのは
「優哉さん……」
それに、腕を絡めた遥さん。
「憐哉くん久しぶりだね」
「あ、こんにちは」
「憐哉、こんなとこで寄り道してちゃだめじゃないか。早く帰れよ」
違和感のある笑い方をした優哉さんが憐ちゃんの頭に手をおく。
1週間ぶりにみた、優哉さんの顔。
何度も、何度もみたいと思ったその顔。
言葉よりも先に、涙がこぼれた。
「え、なになに。泣いてる~」
「大丈夫?」
優哉さんが私に手を伸ばす。
私はその手をかわし、リュックを背負った。
「憐ちゃん、帰ろう」