大好きな君の。
50m7秒前半でも、やっぱりいっぱい走ったらバテる。疲れる。
しかも相手は私よりも年上だし男。
いくら出遅れたといっても、男と女。高校生以上と中学生。
追い付かれるっ!!と思ったときだった。
男の子が、私の手をぐいっと引っ張る。
足、めっちゃ速い………?!
「はぁはぁ……。なんとかまけたっぽい?」
入り組んだ路地に入り込み足音が聞こえなくなってようやく止まる。
久しぶりに走ったなあ。
バテバテな私と、涼しい顔した少年。
「なんであんた、逃げなかったの?」
走っているときずっと思っていた疑問をようやく口にすることができた。
男の子はやっぱり表情を変えずに私をじっと見つめて
「めんどくさいじゃん。逃げるの。」
確かにそりゃそうだ。うん。
私だって走るのめんどくさい。関わるつもりなんてさらさらなかった。
………好奇心にまけただけ。