大好きな君の。
「でも逃げないと、殴られるかお金取られるじゃん」
自分から、絡まれにいった私とは違って彼は絡まれていたんだから。
彼は私の顔をじっと見つめた。
「あんたこそ、なんで絡まれにきたわけ?」
質問に質問返しする彼に少しむっとする。
けど良い子だから私は答えてあげるよ、うん。
でも、好奇心に負けました。なんて言ったら馬鹿丸出し。
ここは適当に嘘でもつこう。
「な、ななな、なんとなく!」
「絡まれたら、殴られるか金取られんじゃん」
私が、さっき言ったこと。
まんま返す彼が少し面白かった。
「別に殴られるくらい、平気だよ」
お母さんとお父さんの痛みに比べれば、そんなの全然平気。
私の身体が傷ついても悲しんでくれる存在なんてない。