大好きな君の。
「ん」
ポケットティッシュを私に差し出す彼。
受け取って、急いで手を拭く。
「ありがとっ」
「いや」
「名前、なんだっけ?」
そういえば、まだ名前聞いてなかった。
聞いてたとしたらもう1回聞くだなんてすっごい失礼な話だし。
「憐哉(レンヤ)。そっちは?」
「朋実(トモミ)」
「それじゃ、朋実。俺はそろそろ帰るわ」
「おう」
イケメン風に、振り返らずに手をひらひらと振って去る私。
曲がり角をまがったすぐのところで、憐がいなくなったのを確認し地図を開く。
…………ここ、どこですか?