大好きな君の。
「あ、起きたんだ」
ドアが開いた。
お医者さんかと思ってびくっとしてしまった。
けれど、予想とは違い、聞こえた声は、意外な人のもので。
「憐ちゃん…?」
「ちゃんってなんだよ、っておい。お前……泣いてんの?そりゃそうか、怖かったよな」
憐ちゃんは、優しく私の頭を撫でた。
怪我をしているはずなのに、憐ちゃんが触れた部分は全然痛くなくて。
涙がでた。
「憐ちゃっ……えぐっ」
「汚えなあ。つかちゃん付けやめろ」
えぐえぐわんわんと泣きやまない私の顔を憐ちゃんは
ティッシュで拭いてくれた。
ふふ、お兄ちゃんがいたらこんな感じかな。
涙と笑みがこぼれた。
「あ、笑った」
そう言って憐ちゃんは微笑む。
その仕草がなんだか絵になってて、カッコ良くて、惚れるかと思った。
顔がかあっと赤くなる。
「はいはいちょっとごめんねー」
そこでお医者さんが来て、憐は一時退室した。