大好きな君の。





 事故直後まで記憶を辿る。




 そういえば、身体を酷く重く感じた。





 誰かに、声もかけられた気がする。











「お兄さんは………?」
「まだ、目、覚まさない」











 頭が真っ白になった。


 ただ一言。「ごめんなさい。」その言葉が、駆け巡る。


 取り返しのつかないことをしてしまった。



 私のせいで、私のせいで…。









「ごめん、なさい」
「あの人、優しいから大丈夫だよ。気にしないで」












 道路に出たのは、死にたくてではなかった。


 そう、あれは事故だった。


 けれど、私は、死のうとしていた。






 もし、私が死のうとしたときに、ああやって道路に飛び出して、


 死んでいたら誰かを巻き込んでいたかもしれない。






 私がぶつかった車の人は、犯罪者になってしまうのだから。






 それに、もしかしたら、ぶつかったことにより事故がおきて


 私のように両親を亡くしてしまう人がでるかもしれない。




 ごめんなさい。


 馬鹿な考えをして、本当にごめんなさい。


 申し訳ない気持ちと同時に、優哉という人に興味が湧いた。





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