大好きな君の。
憐ちゃんは急いで駆け寄ったけれど、優哉さんは意識を失ってしまったようだ。
憐ちゃんは、優哉さんの名前を呼び肩を揺する。
優哉さんを呼ぶ声が、段々荒々しくなっていく。
「憐ちゃん、落ち着いて。お医者さんを呼ぼう」
車椅子を動かし、移動しようと思ったけれど私の手を掴む優哉さんの手には力が入っていた。
「朋実は待ってろ」
憐ちゃんは病室を飛び出した。
優哉さんと2人。ここに残された私。
な……ナースコール!!
動こうにも手を掴まれていて動けない。
手を外そうと試みる。
「行かないで………っ」
微かだが、そういったように聞こえた。
刹那、彼の目から一粒の涙がこぼれた。
彼は眠っていた。
でも、確かに涙は
彼の頬を伝って流れた。