大好きな君の。
こんこんっとノックの音がして、看護婦さんが入ってきた。
「お昼ですよ、次からは朝の体温測定時に起きていてくださいね?」
「あ、ごめんなさい」
にっこり微笑んでいた若い看護婦さんは、私の顔を見て酷く驚いた顔をした。
「どうしました?水野さん?」
「次から気をつけますね」
「じゃなくて、涙ー………………っ」
「え?」
そのとき、頬が、冷たく感じた。濡れた頬が、風にふかれて。
「ごめんなさい、なんでもないんです」
看護婦さんは何かを感じとったらしく、それ以上の追求はしてこなかった。
朝に出来なかった分、今測定して、血も少し抜かれて痛かった。