大好きな君の。






「お母さん!!やだ!!いかないで!!私を置いていかないで!お母さん!!お父さん!!」










 自分の手が、腕が、血だらけに見えた。



 お母さんとお父さんが見えた。



 あの、事故に遭った瞬間に戻ったかと思った。



 取り乱す私に、憐ちゃんは驚きが隠せないようだったけど、背中をさすってくれた。



 その内、落ち着きも段々取り戻した。












「朋実、ごめん、ちゃんと見てなかった。ほんとごめん」
「だいじょ……ぶだよ、大丈夫。だから、そんな顔、しないで」











 憐ちゃんは、眉を下げる。


 私を起き上げようと私に駆け寄る。











「ごめん、本当にごめん」
「憐ちゃん、私、憐ちゃんの笑ってる顔が好きだよ」











 ごめんごめんと謝る憐ちゃんに私は笑ってみせる。


 左腕が痛い。けど、笑わなきゃ。




 私の軽率な行動が悪い。










「ありがとう、もう大丈夫。車いす、取ってきてくれる?」
「ああ」








 憐ちゃんはやっぱり浮かない顔をしていた。

 
 笑って?憐ちゃん。



 憐ちゃんの取ってきてくれた車いすに乗り、おされ、優哉さんの病室についた。





 ノックをする。ドアを開けると、彼は上半身をおこし



 窓の外を見ているところだった。








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