大好きな君の。
「朋ちゃんも入院してるんだっけ?俺起きられないから暇なときいつでも会いに来てね」
病室に戻って、1,2時間経ってそろそろ憐ちゃんが帰るというので
私も帰ることにした。
そんな私に、にっこり笑って優哉さんは言葉をかける。
「憐くんも来てね、俺待ってる!」
「あ、うん」
憐ちゃんに車いすをおされ、病室をでる。
優哉さんはにこにこ笑って幼い子のように私たちにぶんぶんと手を振っていた。
私も、小さくだけど振り返す。
それに気付いた優哉さんはもっと、ぶんぶんと手を振った。
鼓動が、速くなった気がした。
病室からでると、丁度男の人と女の人が病室のすぐ前にいた。
「こんにちは」
「こんにちは。憐。来てたの」
「父さん、母さん……」
心なしか憐ちゃんに似ているその2人はどうやら、憐ちゃんのお父さんとお母さん。
「あなたは……」
「あ、私、朋美っていいます。あの、優哉さんにかばってもらって本当にありがとうございます。本当はもっと早くお礼に行かないといけなかったのに……」
そう言って深々と頭を下げる。
私のせいで2人の息子さんが怪我をしてしまったんだ。記憶喪失になってしまったんだ。
怒鳴られるに決まってる。打たれるかもしれない。
けれど、何も言われなくて、不思議に思い頭を上げる。
「そっか、あなたが……」
「大丈夫よ、気にしないで?優哉が勝手にしたことだから」
優しそうな顔で憐ちゃんのお父さんとお母さんは微笑み、優哉さんの病室に入っていった。