大好きな君の。







 すると、いきなり優哉さんは、頭を強く押さえた。呼吸も荒くなっている。











「優哉さん? 大丈夫?! 待って、今ナースコール………」










 ボタンを押そうとする私の腕を強く掴む優哉さん。


 優哉さんは苦しそうにしながら首を横に振った。












「でも……!」
「呼ばないで……、もうちょっとで、思い出せそうなんだっ!」













 苦しそうな顔で、そう言われたら押すに、押せなくなった。


 握られている腕への力も強くなっている。


 

 正直痛い。でも言わない。



 じっと我慢して、優哉さんの痛みが、苦しみが、治まるのを待つ。











「遥。は……るか………。はるかあっ!」











 まただ。


 また、胸がきゅってなった。


 痛くて、苦しくて、どうしようもなく切なくなる。










「遥、遥、遥!」








 
 優哉さんが、私に抱きついた。



 ぎゅって、私の背中に、腕を回す。






 でも、やっぱり、呼んでるのは、


 私と違う人の名前。





 抵抗も、抱きしめ返すことも、しないで、


 ただ、ただ、抱きしめられた。




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