大好きな君の。
*優哉視点。*
目を覚ます。
何かやっていたような気はするが何も思い出せない。
もどかしさを与えた。
記憶喪失。
頭のなかが、真っ白なことが多い。
時々自分でもよくわからないことをしてしまう。
前の俺が、俺のなかで暴れてるんだと思う。
頭で状況を整理しようと、瞼を開く。
俺は、小さな女の子を抱きしめていた。
小さな女の子、と言っても中学生の女の子。
憐、くん。確か弟の彼女。っぽい子。
朋ちゃん。
俺の過去をしらないけど、俺のことは知っている、唯一の子。
記憶がない俺には、そう接してくれる子が一番楽。
父さんと、母さんらしい人もお見舞いに来てくれたけど、正直全然ぴんとこない。
朋ちゃんは、俺の腕の中で気持ち良さそうに、すやすやと眠っていた。