大好きな君の。






 優哉が、まだ記憶があるときに紹介された女性。



 長くてさらさらな黒髪が特徴で、美人。らしい。





 いつも甘ったるい香水のようなにおいがして俺は苦手だった。




 優哉の好きな人。



 その人も、優哉のことが好きだった。





 その人が本当に優哉のことが好きだったのかは俺にはわからない。



 けど、優哉は、確かにその人のことを愛していた。













『天海 遥(アマミ ハルカ)です。よろしくね。憐哉くん』












 そう言って、天海は俺に手を差し出す。


 握りたくもないその手を俺は握った。



 直感で感じた、なんかやだなって。




 けど、優哉の好きな人なんだし、良い人なんだろうなって思っていた。




 ……あのことがあるまでは。






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