大好きな君の。
それから優哉は、笑わなくなった。
愛想笑いはしている。
けど、心の底から笑わなくなった。
『あの子でしょー?』
『そうそう、居眠り運転の……』
『よく生きてられるよねー』
そんな話を耳にするようになった。
叔父さんはちょっと疲れていただけなのに。
優哉は何もしていないのに。
何も知らない癖に。
言いに行こうとする俺を、優哉は止めた。
いつもそうだ。
優哉は優しくて、カッコ良くて、
なのに、なんで優哉がこんな思いをしないといけないんだ。
俺は無力だ。
優哉を救うことが出来ない。
事故の日から1週間が経った日のことだった。
「うわぁあぁあああああ」
優哉の部屋から突然叫び声が聞こえた。
そして何かが壊れる音。倒れる音。
部屋の扉を少しだけ開いて除けば、ひどい状態の部屋が見えた。
その中心に、優哉がいた。
優哉は小さく丸まっていた。小さく丸まって震えていた。
怖くなった俺は、静かに部屋の扉を閉めて、自分の部屋にこもった。
普段優しい優哉がこんなにも取り乱すだなんて、やっぱり、お父さんのこと……。
そうだ、天海。あの人なら――――……。