大好きな君の。
彼女は俺がさしたパイプいすには座らず
もうすでに俺の横に置いてあったものに座った。
そこは、朋ちゃんの特等席なんだけどなー。
と思ったけど初対面の子にさすがにそれは言えないから、黙っておいた。
「えと、久しぶりだね」
女の人は俺に満面の笑みで声をかける。
女の人の顔をじーっと見つめ、真っ白な頭で考える。
けど名前が出てこないから、きっと俺の記憶がまだあったころの友達だろう。
その頃の友達が会いに来たことなんてなかったから驚いた。
「あ、うん。えーっと、俺が記憶ないこと、知ってる?」
申し訳なさそうに尋ねる俺。
女の人は驚いたような顔をしていたけど、どこか不自然に見えた。
「そっか、記憶、ないんだ。私、天海遥だよ」
「よろしくね、天海さん」