大好きな君の。
天海さんは、ぶつぶつと何かを呟き始めた。
「私ね、あなたと付き合っているのよ」
「え……?」
驚く俺を見た彼女はにやっと笑った。
そして俺に顔を近づけてきた。
「今の俺には付き合ってる子がいるから、もうあなたとは付き合えません」
天海の口を手で押さえ、座らせる。
天海は今度は本当に驚いたような顔をした。
けれどすぐにその表情を隠し、余裕の笑みを浮かべる。
「優、自分の記憶覚えてないみたいだけど、それ知ったらともみちゃん。なんて思うかな?」
「なんで、あなたが朋ちゃんを知ってるの……?」
「さあ、どうしてでしょう?」
天海は楽しそうに笑うと、立ち上がり俺の頬にちゅっとキスをする。
そして今日はもう帰るね、とだけ言って病室から出て行った。