茉莉花の少女
 そのとき、ドアの向こうから声が聞こえた。

「開けて」

 僕は立ち上がると、ドアを開ける。

 そこに立っていたのは両手がふさがった彼女の姿だった。

 その手にはお盆が握られ、お盆の上にはティーカップが二つ並んでいた。


 その紅茶からはほのかな甘みのある匂いが漂っていた。

 その隣にはクッキーが添えられている。


 なんとなく小学生のときに行った友達の家を思い出していた。

 友達の家に行くと、お菓子が出てきていたから。
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