茉莉花の少女
「無理に飲まなくても」

 彼女は不安そうに僕を見ていた。

「大丈夫」

 彼女と同じ気分を少しでも味わいたいと思ったから。

 そのとき、部屋のドアがノックされた。

 彼女はドアを開ける。

 そこに立っていたのは彼女の兄だった。

 彼は僕を見ると、ため息を吐いた。

「だから普通のにしておけって言ったのに」

「ごめんなさい」

 彼女は肩を落として落ち込んでいるように見えた。

 彼女の兄は持っていたお盆を渡した。
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