茉莉花の少女
 彼女は明るい顔で僕を見た。

「一緒に飲もうか」

 頷いた。

 けれど、引っかかるのはさっきの男性と思われる名前だ。

 僕はすぐに我に返る。そんなことをきにしているのがばからしいと思ったからだ。

 彼女にそんな名前の知り合いがいようがいまいが関係ない。

 僕の前に紅茶が差し出される。

「飲んで。今度は大丈夫だと思うよ」

 いつもは僕の気持ちに気づき、勝手にフォローしてくる彼女が何も言わなかった。
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