茉莉花の少女
第10章 梅雨
 父親と彼女を見た後、それでも悲しくて膝を抱いて泣いていた。

 そんな僕を見て、彼女は怒鳴りつけた。

「いちいち泣くんじゃないよ。鬱陶しい。

だいたいあんたがいい子にしていないから離婚しないといけなくなったのよ」

 彼女は自分の男癖の悪さを棚に上げ、離婚は僕の責任だと言い放つ。

「お金のために生んだんだから手間をかけさせないでよね」

 別にショックはなかった。

 でも、目からあふれる涙はただ増え続けていた。
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