茉莉花の少女
 彼女を一瞥すると、歩き出す。

 すぐ後に彼女の足音が聞こえた。

「何かあった?」

 何も言ってないのにすぐに気づく。

 今まで誰もそんなことに気づかないのに。

「何でもないよ」

「そっか。でも、私でよかったら話をしてね」

 いつもと同じ声色で彼女はそう語る。

 そのいつも同じ声がなんだか心地よかった。
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