茉莉花の少女
「どうして先輩のお兄さんがそこまでしてくれるのか分からないんだけど」

「それは言わない」

 彼女は知っていると暗に告げていた。

「別に騙したりとかしないし、大丈夫。どうしても久司君と行きたい場所があるの」

「行きたい場所ね」

 別に用事があるわけでもないからいいか。

「いいよ」

 彼女の言葉にうなずいた。

 彼女の表情がぱっと明るくなる。
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