茉莉花の少女
「そういうことでいいよ」

「ありがとう」

 彼女は僕の手を強い力で握った。

 僕の手が包まれたようにぬくもりを感じる。

 体を焼いていくような暑さがあるのに、そのぬくもりに不快感は覚えなかった。

 それどころか君の手のぬくもりをずっと感じていたいと思っていたのだから。

「今日、ここに来たのはね」

 彼女は落ち着いた言葉を急に発した。

 辺りは静かな風が流れている。

「もっと久司君にわたしのことを知ってほしかったの。それでお兄ちゃんに無理を行ってつれてきてもらったの」

「どうして?」

「わたしのことを知ってほしかったからって言ったでしょう?」
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