茉莉花の少女
 それから僕と彼女の探し物がはじまった。

 だいたい、こんな町の中にそんなものを育てている物好きがいるのかと不思議に思う。

 その探し物が一週間ほど続いた日だった。

 僕は何気なく、他の家の庭を眺めてた。

 その視界に映ったのは低木の咲く白い花。中央には黄色の花弁がついている。

「まさかあれだったりしないよな?」

 彼女の足が止まる。

「あれ」

「あれか?」

 彼女は何度もうなずいた。

 普通ならここで取ってくるというべきなのかもしれないが、指差した先は家の敷地の中だ。
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