茉莉花の少女
「白のベゴニアもいる?」

「あるの?」

「母親が鉢にうつしていたから、それを持って帰るといいよ」

 彼女はすごくうれしそうな顔をしていた。

 僕の家はそんなものを育てているわけもなく、奈良の一軒家がうらやましかった。

 父親の家ならこれを植えることもできたのかもしれない。

 僕達は奈良からお茶の木を手に入れた。

「そんなものを手に入れてどうするんだ?」

「秘密」

 意味ありげに微笑むと、彼女は奈良からもらった袋を大切そうに抱いていた。
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