茉莉花の少女
「誕生日、おめでとう」

 プレゼントのことはどう言えばいいのだろう。

 いっそ誕生日を忘れていたことにでもしておいたほうがいいのかもしれない。

 探しにいって見つけらなかったなんていうなんてかっこ悪い。

「わたしにはこれで十分」

 彼女は僕に抱きついてきた。

「先輩?」

「嫌?」

 嫌じゃない。寧ろ。

 彼女は満足そうな笑みを浮かべると、また抱きついてきた。

「お兄ちゃんから、久司君がプレゼントのことで苦悩しているって聞いたから」

 苦悩って。絶対言葉を間違っている。
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