茉莉花の少女
 手前の並木道に同化するように、公園の中に点在する木々も赤く染まっていた。

「いいけど、帰りが遅くなって大丈夫?」

「でも、あんなに綺麗なのに」

「明日、学校帰りに一緒に来よう」

 辺りはもう半ば闇に包まれようとしている。

 今、気づいたが、これならどちみち彼女を送って帰らないといけないかもしれない。

 一人で帰らせて彼女に何かあったら心配だからだ。

「だめ?」

 茉莉はどうしても今日、この公園の中に入りたかったのだろう。

「いいよ。分かった」

 彼女の言葉に同意しながら、彼女の生まれたこの日が、日曜だったらよかったのにと心から思っていた。

 それならずっと傍にいられたのに。

 そんなことが残念だった。

「でも、家まで送っていくから」

「大丈夫だよ」
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