茉莉花の少女
「残念。がんばったんだけどな」

 彼女は未だ緑の残る木を見つめていた。その瞳がやけにかなしそうで、切なそうだった。

「何が?」

「お茶の木の花と白のベゴニアはね、久司君の誕生花なの」

「そうなんだ」

 ただ反応を示すこともできずに彼女の言葉に聞き入る。

 そんなこと普通知らないだろう。

 そこで我に返る。

「もしかして、それをずっと探していたのか?」
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