茉莉花の少女
 彼女はうなずく。

「わたしと久司君の誕生日にそれぞれね、一緒に並んだら、なんかいいなって思ったの」

「そんな無意味なことを。先輩って歳のわりに幼すぎ」

 彼女は頬を膨らませて僕を見る。

「いいでしょう? こんな奇跡みたいなことに願掛けをしないと」

 そこで彼女は言葉を噤む。

「しないと?」

「何でもないよ」

 顔を背け、頬を膨らませている彼女がやけに愛しい。

 年上とは思えない。本当に仕方ないなと思う。
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