茉莉花の少女
 花を一緒に並べるなんて無意味だと思った。

 そんなことをしてもどうしょうもない、と。

 でも、どこかで悲しそうな君の顔が脳裏に焼きついていたのだろう。

「十一月まで咲いていることもあるんだろう?」

 僕は彼女の手を引く。

 そんなことを言い出したのは

 ただ、君に笑ってほしかったからだ。


 心の中で、自分で自分を笑っていた。

 それでも、たとえ見つからなくても、君が笑う可能性があるならそれに賭けたかった。

「どこに行くの?」

「だから、探そう。どうせここでじっとしているよりも体を動かしたほうが元気になるから」

 彼女はその言葉に目を見開くと、小さくうなずいていた。
< 244 / 362 >

この作品をシェア

pagetop