茉莉花の少女
 そのとき一瞬、白いものが視界に映る。

 ひっそりとたたずむようにその花がいた。

 それを見て、思わず声を上げた。

「茉莉先輩」

 子供の頃でも出したことのないようなはしゃぐような声。

「どうかした……の」

 彼女は僕の見つめる先をただ見ていた。

「どうして?」

「先輩の言う奇跡なんだろう?」

 空き家の隣に大きな空き地があった。そこには大きな看板が掲げられていたがた。

 もしかすると空き家の持ち主が空き地に植えたのかもしれないし、誰か別の人がそうしたのかもしれない。
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