茉莉花の少女
 十一月に入っても暖かい日が続いていた。それがこの花の落下を遅らせのだろう。

「先輩の願い叶うといいね」

 彼女が言った言葉はきっとなんらかの奇跡を願っているのだと思った。

 だから、僕は彼女にそう告げた。

 彼女の目には涙が溜まっていた。

 その花に駆け寄ると、そっと手を差し伸べていた。

 僕も彼女の傍らに立ち、うずくまっている彼女を見つめた。

 目から涙がこぼれるのに気づく。

「ありがとう」

 彼女の言葉。
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