茉莉花の少女
 すごくあたたかくてやさしい言葉だった。

 僕は彼女の涙が止まるまで、彼女の傍らにたたずむことにした。

 彼女が傍にいるだけで、

 とても幸せで

 とてもあたたかかった。

「もって帰ったらだめかな」

「いいんじゃない? もしかしたら捨てられたのかもしれないし」

 僕は辺りを見渡す。先ほど意識しなかった看板を見つめなおす。

 そこは売却地と書かれた看板が立てかけられていた。
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