茉莉花の少女
第19章 彼女との未来
 クリスマスや正月も彼女と一緒に過ごした。


 冷たいように見えて過保護な兄と、人の良さそうな父親に囲まれて幸せに育ってきたのだろう。


 そんな姿がなんだか微笑ましかった。


 彼らと過ごしていると、本当は違うのに家族と過ごしているような錯覚さえ覚えてしまっていたのだ。

 彼女と手をつないで歩くと、それだけであたたかい。

 冬の寒さを忘れてしまいそうなぬくもりがあった。

 彼女のこのぬくもりを永遠に感じていきたい。

 僕は彼女の手を握り返して、そう心に誓っていた。
< 252 / 362 >

この作品をシェア

pagetop