茉莉花の少女
 教室に戻ると三田の問いかけが待っていた。

 想像していたが、面倒だ。

「話って何だ?」

「つきあってくれって」

 窓の外を見た。

 厳密には違うような気がするが、それで十分だろう。

「マジで?」

「そんな嘘を吐く意味がないと思うけど」

 三田は肩を落とす。

「大体お前って何でそんなに女にもてるんだよ。その顔か?」

「知らねーよ」

 顔、か。

 自分の顔を見ると、あの女との血のつながりを示された気がして、これ以上ない不快感を味わう。
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