茉莉花の少女
 そのとき、花を見て微笑んでいた彼女のことを思い出した。

 奇跡だと言っていた。

 そして、日にちを延ばしてもらったと言っていたことを思い出す。

 でも、それを彼に聞くことはできなかった。

「彼女をよろしくお願いします」

 僕はそう言うと、頭を下げた。



 僕は優人さんに電話をした。 

 そして、彼に家の近くまで送ってもらうことになった。

「本当は今年の夏には挙式を挙げる予定だったんだよ」

「いつ伸びたんですか?」

「昨年の十二月かな。あいつがそう望んだから」
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