茉莉花の少女
第24章 君の願い
 家に帰って一時間ほど経過した頃だった。

 僕の携帯が鳴った。

「もしもし?」

 発信者は優人さんだった。

「茉莉がそっちに行ってないか?」

「いえ。いませんけど」

 僕は家に帰ってから何もできずに呆然としていた。

 いざ一人になってみると涙さえも出てこなかった。

 ただ刻み続けるときに身をゆだねることしかできなかった。

 彼の言葉で少し頭が働き出す。

「家にいないんだよ。あいつのことだから大丈夫とは思うけど。もし、来たら教えてくれるか?」

「分かりました」

 僕は電話を切った。

 茉莉はどこにいったのだろう。

 そして脳裏を過ぎっていたのは悲しそうな彼女の姿だった。
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