茉莉花の少女
 そして、そのことで彼女は自らをずっと責めてきたのだろう。

「茉莉花の花言葉の清浄無垢は茉莉にぴったりの言葉だと思うよ。

本当に嫌な人間ならそうやって傷ついたりしないから。

自分勝手な行動を起こすと想うから」

 彼女の肩が小刻みに震えていた。

 泣いているのだと気づいた。

 でも、彼女に気持ちを伝えるには今しかないと思ったのも本当だった。

「僕は茉莉に会えてよかったよ。それは今でも変わらない」

 きっと彼女は僕を選んでも彼を選んでも傷つくのだろう。

 そういう子だから。

 誰かが傷つかないといけないなら、僕が傷つけばいい。

 それが一番だからだ。

 彼女に会ったことは後悔しない。
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