茉莉花の少女
 後悔するなんて感情がバカらしくなるほど、君と過ごした時間はかけがえのない、幸せな時間だった。

 一生分のぬくもりをもらった気がした。

 だから、僕はもう大丈夫だと思えたのだ。

「茉莉の誕生日に一緒に過ごそう」

 それが君の望みなら、今の僕にでも叶えることができる。

 ちっぽけなことしかできないけれど、少しでも君に笑っていてほしいから。

「ごめんなさい」

 彼女は僕のいいたかったことが分かったのだろう。

 そう小さな声でつぶやいた。
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