茉莉花の少女
 家に帰ると優人さんが家にいた。

「あの料理どうするんだよ」

 彼はげんなりした表情で僕と茉莉を見る。

「食べたの?」

「食べてないよ。どうせあいつのために作ったんだろう。どうにかしてくれ」

「今からこれをもって久司君の家に行くの。だから綺麗さっぱりなくなるよ」

「あいつの家?」

 優人さんはかんぐるような目で僕を見ている。

 彼が何を言いたいかは分かる。

「大丈夫ですよ」

 茉莉は首をかしげて、僕と優人さんを見ていた。

 本気で意味が分かっていないのだろう。
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