茉莉花の少女
 どれもおいしくて、料理ができずに赤面していた君のことを思い出し、少しだけ笑うことができた。

 君のそんな姿をもうじき見ることもできなくなる。

「高校二年になった頃かな。クラスメイトがね、一年にすごくかっこいい子がいるって言っていたの。

それでわたしも興味があって見に行ったの」

 彼女はごはんを食べ終わった後、そうぽつりともらした。

「でも、周りの子はかっこいいって言っていたけど、そんなことよりもただあなたの目が寂しそうだったのが気になっていた。

それからかな。あなたのことを意識し始めたのは」

 そこで息を吐く。

 僕は黙って彼女の言葉を聞いていた。
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