茉莉花の少女
 彼女の閉じられていた瞼がぴくっと動く。

「朝になっている」

 起き上がると、そんな声を出していた。

「大丈夫? 一応、優人さんにはメール送っておいたけど」

「大丈夫だよ。そんなことはね。でも、もっといっぱい話をしようと思ったのに」

「今から、少しなら聞くよ」

 茉莉はしばらく考えていた。

「すぐに言われても分からないよ。


……でも一つだけ。今まで一緒にいてくれてありがとう。あなたと過ごせて幸せだった」

 そう言った笑顔は始めてあったときの君の笑顔に似ていると思った。
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